fbpx

Feature Article – Jace and Stoneforge Banning (Japanese)

やあ、久しぶり。前回の記事から1ヶ月以上経ってしまって本当にすまない、
言い訳させてもらえるなら、ここのところ少し忙しすぎたんだ。チェコに3週間滞在してグランプリプラハ、日本に帰ってきたと思ったらすぐにグランプリシンガポール、そしてプロツアー名古屋。しかもどれも違うフォーマットでのプレミアイベントときている!
リミテッドの練習をやっていたかと思うと、日本に帰ってきてスタンダードと限定構築の練習、そして再びカンザスシティに向けてリミテッドの練習もしなくてはいけない。ほとんどの時間をマジックの練習に充てていたけどそこまでしても全然、時間は足りなかった。僕の名古屋の結果はひどいものだったし、その理由の大半は満足のいくデッキを見つけられなかったからだ。
それでも旅行の合間を縫っては色々と書きかけてはいたんだけど…、
例えば名古屋観光案内を途中まで書いたは良いものの完成前にプロツアーがやってきてしまったり、リミテッドについてのあれこれは…、もうすぐM12が出てしまうよ、それとグランプリシンガポールで使用したコウブレード(とうとう僕もダークサイドに身を落としたのさ)についてのTips。これはほとんど完成していて、後は翻訳を担当してくれているエミリーさんに渡すばかりだったんだけど、みんなも知ってのとおり《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》と《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》がスタンダードで禁止カードに指定されてしまってご破算になってしまった。
みんなが禁止カードとその後の新デッキについて議論している中でただ1人、コウブレードの改善案について書いてる記事をあげてるだなんて…
ちょっと想像するだけで背筋が寒くなってしまうね。せっかく書いた原稿が日の目を浴びれないのは残念だけど逆に恥をかかなくて済んだと思うことにするよ。そして今回話そうと思うことだけど、たぶんこの1週間くらいで散々語られてるであろう事の繰り返しになってしまう事。
《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》と《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》について僕の思っている事を書こうと思う。

《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》について

《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が禁止になるという事について、僕は残念だけど仕方がないと思う。
それくらい正直言ってジェイスはあまりに強すぎた。
僕の青黒コントロールについての考察を読んでくれた人なら解ってくれると思うけど、
ここしばらくの青系デッキは《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》と56枚と言った表現が一番適切だという有様だったんだ。
それは青黒コントロールに限らず、コウブレイドを含むほとんど全ての青いデッキでマッチアップでキーカードとなるのは《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》であり、極論してしまえばどうすればジェイスを戦場に出して維持し続けられるかの一点だけであったからなんだ。
例外として思いつけるものといえばせいぜい青赤《欠片の双子/Splinter Twin》に関してかな、このデッキではちょっと事情が変わるけど、それは2枚のコンボデッキだからね。それにしたってジェイスをコントロールし続けられるなら状態なら、なるべくそうするように動く事は変わらないだろう。

僕はコウブレイドについての記事を書いていたと言ったけど、
その記事にしてもほとんどのマッチアップについて言及しているのはいかにしてジェイスをコントロールするかというのが大半で、《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》についてはその次という有様だったんだ。
その事に関して三田村和弥が簡潔でいてかつ的確に表現している。
『同じジェイスが2回ブレインストームしたらゲームは終わり』
まさにその通り。今のスタンダード環境ではライブラリーをシャッフルする手段に溢れているので2回ブレインストームをするという事はほとんど6枚の新しいカードを引いていると言う事に等しい。ジェイスが未だに対処されていないという状況で、しかもカウンター呪文がある青が6枚ものアドヴァンテージ差をつけたならもう勝ちと言っても差支えがないよね、
そういった状況は例え新セットでどのような新カード、新デッキが現れてもジェイスを使う側がメタゲームに合わせてジェイスを生き残らせるような構成にする事で対応されていったし、むしろそれが出来ない環境になったしまう事の方が、例えば親和のような速さを持ったデッキならジェイスも流石に対応できないと思うけど、それは明らかに逆の方向に不健全なのだろうから最終的な解決手段に、つまりは禁止になってしまったというのは頷けてしまうんだ。
でもこの事によってデッキ構築で新たな視点が増えるんじゃないかな
振り返ってみてここ最近のカード評価をする際には必ずジェイスに対して耐性があるかという項目があった気がする。
例えば《ジェイス・ベレレン/Jace Beleren》は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を先出ししている事になるから非常に有効だとか
《呪文貫き/Spell Pierce》は1マナ立てているだけで《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》を牽制する事が出来るし、自分のジェイスが通りやすくなるから強い。なんてね。
いずれにせよここ1年半、常にデッキ構築の際に制限されていた呪縛で本当は3ヶ月先の未来だった筈のものがいきなり解かれたんだ。デッキの多様性という意味では間違いなく正解だろうし、スタンダードに良い影響を及ぼすと思うよ。
青好きの僕としては青に残されたものが《マナ漏出/Mana Leak》と《ボーラスの工作員、テゼレット/Tezzeret, Agent of Bolas》くらいしか見るべきものがないというのは少し悲しいけど、青にだってジェイスの影に隠れていて使われなかったカードがある訳なんだしそう捨てたものじゃないはずさ。

《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》について
カンザスシティでの週末だったかどうかは憶えていないんだけど、
何かのインタビューで禁止カードについて、特に石鍛冶は禁止にすべきかと聞かれ聞かれて僕は
『《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》を禁止にすれば、《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が息を吹き返すだけさ』
と答えたのだけど、少し言葉足らずだった。
石鍛冶は確かに環境を支配してしまっている。これは厳然たる事実だ。
例えば僕がグランプリシンガポールで戦った12ラウンドの内、9ラウンドがコウブレイド、もしくはダークブレイドのミラーマッチだったし、
その前のレガシーグランプリ、プロヴィデンスでも石鍛冶は猛威を振るっていた。

だけどそれは本当に石鍛冶の所為だろうか?
僕は石鍛冶を禁止にした事については少々複雑な立場だ。

新ファイレクシアで投入された《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》は結果的にはコウブレードが必ず1枚デッキに入れる事からコウブレードを強化してしまったというイメージが強いのだけど
どちらかと言うとコウブレードと対戦することになるプレイヤー。つまり対コウブレード、もしくは対ジェイス用のカードとなるはずだったんだ。
僕が青黒コントロールを諦めて、コウブレードでGPシンガポールを出る切っ掛けになった理由の1つなんだけど《突然の衝撃/Sudden Impact》効果は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》をとても意識していると思う。
これまでの剣だとジェイスを壊そうとする剣の能力が誘発しないから、僕が青黒を使っている時の対戦相手は不自由な2択、剣付きのクリーチャーでプレインズウォーカーを壊しに行くか、本体を攻撃して剣のボーナスを選ぶかを迫れたのだけど。この剣についてはそんな事はお構いなしだ。本体を攻撃してついでに剣の効果でジェイスを壊されてしまう。逆にジェイスをコントロールしている側にとって手札を3枚以下に保つのは中々難しい。なにせブレインストームをしたということは最低でも1枚分カードは増えてるのだからね。その上で手札が2枚しかない事態を想定するとなると、
そんな時はどうせ残りの1枚も大したカードでは無いので余裕を持ってジェイスに攻撃すれば良いだけだよ。

また剣によって得られるプロテクション白はコウブレードにとってセオリーだった《戦隊の鷹/Squadron Hawk》によるチャンプブロックを出来なくしたうえ、それまでのコウの基本除去だった《糾弾/Condemn》をサイドボードに追いやってしまった。
吸血鬼デッキのサイドボードなんかに《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》が大量に入っているのを見ていると、これこそがR&Dが本来想定していた使われ方だったんだなと再認識できるし、中島主税をあと少しでシンガポール優勝まで導いたのは間違いなくコウブレードに対して決定打となるこの剣のおかげなのは疑いない。
もし、新ファイレクシアでの追加装備品がこの1枚だけだったならたぶんこんな事にはならなかっただろうね。

でももう一枚の装備品がコウブレイドをどうしようもないところまで追いやってしまった。もちろん《殴打頭蓋/Batterskull》だ。
《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》と《殴打頭蓋/Batterskull》のパッケージにカウンター呪文のバックアップまで付いてしまうとほとんどのデッキは手がつけられなくなってしまった。
まず次のターンまでに石鍛冶を対処しないといけないし、対処したとしてもいずれカウンターとジェイスのサポート付きで《殴打頭蓋/Batterskull》は出てきてしまう。
しかもトークンを殺したところで隣りの鷹にでも装備されてしまえば即席《悪斬の天使/Baneslayer Angel》。おまけで警戒付きの誕生だ。

コウブレイド同系で先攻2ターン目の石鍛冶は何を持ってくるべきか、
僕が無駄な抵抗を止めて、流れに身を任す事にしたシンガポール前ではやや《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》が優勢だけど、他の2種類の選択肢もとても僅差で手札の状況によっては3つとも充分にありえると思っていた。
だけど現実はそうじゃなかった。充分なカウンターとメインから投入していた《神への捧げ物/Divine Offering》が手札にあるという本当に稀な時か、そもそも既に手札に《殴打頭蓋/Batterskull》がある時以外、ほとんどどんな状況でも石鍛冶でまず持ってくるのは《殴打頭蓋/Batterskull》で、2日目以降ともなると僕も対戦相手も暗黙の了解のようになってしまっていた。まず持ってくるのは《殴打頭蓋/Batterskull》だったんだ。

この事は環境の基本除去についても同様だ
先週までのスタンダード環境で最も強かった単体除去カードは《四肢切断/Dismember》じゃないよ。間違いなく《神への捧げ物/Divine Offering》だ。
なにせ環境の70パーセント以上のデッキは石鍛冶を使っていて、石鍛冶が入っているデッキにはほとんど自動的に《殴打頭蓋/Batterskull》が入ってるのだからね。
ビートダウンにとってこの生体武器はなんとしてでも処理しなくてはいけないものだし、コントロールにしても状況は同じだ。放っておけば際限なくライフを回復されてしまう。だからと言ってスタンダード環境でメインに《解呪/Disenchant》系のカードをいれないといけない状態というのは明らかに不健全すぎる。そしてそうさせてしまった要因の大半は剣ではなく、石鍛冶でもない。《殴打頭蓋/Batterskull》だ。

《戦争と平和の剣/Sword of War and Peace》が現在のメタゲーム上で必要だったカードであり、生体武器がファイレクシアに関連したキーワード能力でこの機会を逃したら当分は印刷できなかったという事情も理解できる。
だけど強すぎる装備品をこうも同じブロックで出しすぎたのがそもそもの原因なのになぜ石鍛冶が、スタンダードで使用できるのが残り3ヶ月という点でスケープゴートにされたという気がしてならない。
そしてコウブレイドというデッキ自体に問題があったと言うのなら、
何も石鍛冶まで禁止にしなくても充分に目的は達成している。大ジェイスがなくなったコウブレイドにこれまでと変わらない価値があるとは僕には思えない。大ジェイスが無くなっただけで充分に目に見える形で弱体化するはずだ。
それでも石鍛冶が禁止になったという事は、むしろなぜ《殴打頭蓋/Batterskull》をイニストラード以降に作れば解決したのに、もしくは剣を1枚、たぶん《饗宴と飢餓の剣/Sword of Feast and Famine》を次のセットへ取っておけばよかったのにという疑問になってしまう。

何はともあれ、日本選手権が7月第2週の僕にとっては使う予定だったデッキを失ってしまったという事実だけが残ってしまった。
そして僕にとって懸念なのは石鍛冶とジェイスがいない環境というのはR&Dにとっても想定外であろう事だ。禁止カードというのは彼らにとっても最後の手段であって、これまではコウブレイドによって抑えられていたデッキを復権させるというテーマで開発をしてきたことは想像に難しくないよね。
そんな状況で、これまではジェイスの力によって抑えつけられていたかつてのティア1デッキに対抗できる術はあるのだろうか?
僕が感じているのはR&Dは《不屈の自然/Rampant Growth》まで帰ってくる《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》を止められるデッキについて彼らは考えを巡らせているのだろうか?
日本選手権の結果が、そして残り3ヶ月が《溶鉄の尖峰、ヴァラクート/Valakut, the Molten Pinnacle》が溢れかえっているような事態にならない事を、彼らがそれについてちゃんとした考えを持っている事を心から願っているよ。
そうならないように僕も努力するだろうけど、それは3週後の日本選手権の結果を見てからと言う事になるのだろうね。
それではまた次回に、読んでくれてありがとう。
                             中村修平

Share this

Discussion

Scroll to Top