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Feature Article – Rise or Fall (Japanese)

やあ、少し間が空いてしまったけどこれがチャネルでの僕の3回目の記事になる。前回の記事からマジック史上初となるマジックウィークがあったんだけど僕にとってパリの1週間は散々なものだった。プロツアーは初日落ちを味わってしまったし、グランプリはというと初日をファイレクシ…じゃなかった。ジャーマン・ジャガーノートに踏み潰された以外は1敗で切り抜けて、翌日の1回目のドラフトも2-1。
2回目のデッキ自体はあまり満足できるものではなかったけど1戦目を勝って、次も上手くいけばトップ8を狙える位置まで到達できる。もし負けたとしても通算3敗なら普通はトップ16に入れるだろうし、最悪連敗して通算4敗でもプロポイント2点くらいは貰えるか、と思っていたらDavidSharfmanとのフィーチャーマッチで負けてしまい、最終戦も無色のドラゴンに蹂躙されて気がつけばその最悪に、しかも結果を見てみると32位以内はおろか64位にも入ることが出来ずにノーポイント。日曜日の昼過ぎくらいまでは、
「プロツアーパリは駄目だったけどグランプリパリで好成績を挙げれたから、次のチャネルの記事はこの週のレポート記事にしよう」
なんて考えていたのにね。
そんな本当に散々だった週末だけど、一方で日本勢にとっては久しぶりに明るい話題に溢れた1週間だった。
去年の18人から一気に9人とグレィビートレインが半減してしまい、今年はどうなる事かと心配していた大会だったのだけど、プロツアー本戦では21歳前後の日本の若手プレイヤー達が結果を残したんだ。今回のコラムではこれからの日本勢の顔ともなるかもしれない彼らについて紹介したい。一口に同世代と言っても日本では古くから知られていたプレイヤーであったり、全くの新顔であったり、マジックと社会生活を両立させているプレイヤーであったりとバラエティに富んでいるメンバーだよ。

名古屋の旗頭
中田直樹
プロツアーパリで4位に入賞した若手プレイヤー
今年プロツアーが開催される名古屋の出身であり、今も名古屋在住の21歳。
去年のグランプリマニラチャンピオンであり、その後のプロツアーアムステルダムで50位入賞によってプロポイント10点+5点でパリの権利とレベル3を獲得したプレイヤーだ。プレミアイベント初出は2007年の日本選手権。当時はまだ高校生ながらこのトーナメントでトップ8に入賞し、その時の上位入賞者が世界選手権前にサスペンドを食らったり、仕事の都合での代表辞退があった為に日本代表メンバーとして世界選手権にも参加した経歴もある。
現在は名古屋で個人トーナメントを主催しているジャッジとルームシェアをしていて、彼らの家は近郊のマジックプレイヤーが集まる一種のマジック道場みたいな感じかな。僕も何回か遊びに行った事があるけど誰かが呼べばたちまちマジックプレイヤー達が集まるという環境の中で生活している。しかし特筆すべきはその事ではなく、彼ら二人ともとある会社の「正社員」である事の方だ。これは日本独特の制度だと思うんだけど原則終身雇用や、半期に一度のボーナス支給、その他会社での様々な福祉サービスを受けられる待遇にある就労者である代わりに休暇の申請が中々下りない、下りさせて貰えないというトーナメントマジックをやるには時間の融通が効かない環境でもある。実際に中田は去年の世界選手権は日本での開催にも関わらず参加する事が出来なかった。そんな環境にあるにも関わらず二人ともマジックに対して物凄く情熱的に接している。
かつての強豪、岡本尋や小倉陵、塩津龍馬が一線を退いてしまってる中、名古屋のマジックコミュニティーを引っ張っている存在だね。次のプロツアー開催地は彼のホームタウンでもある名古屋だし、会社のメタゲームを乗りきって是非参加して欲しいな。
ニックネームは「ケロヨン」。
日本ではそこそこポピュラーなカエルのキャラクターなんだけど、これは実際に見てもらった方が良いかな。僕は初めて聞いた時は戸惑ったんだけど、知り合って翌日には妙に納得してしまった記憶がある。

最後の古豪
石村信太郎
もう一人のプロツアーパリトップ8。
関東在住の若手プレイヤーなんだけど彼は中田とは違って、彼はかなり昔から日本国内では知名度があるプレイヤーだ。世代的には関東の『第三世代』、渡辺雄也や 彌永淳也なんかを代表とする一世代前の若手グループのメンバー内でも抜けている存在でこれまでにも08年のグランプリ静岡トップ8入賞や09年のLimits(Japan endyear tornamentのリミテッド版)準優勝など国内ではコンスタントに結果を残している。非常にプレイが正確でアメリカの選手に例えるとラプターみたいな感じかな。だけど、あまり表舞台に出てくる意思は無くて、特に日本国外のトーナメントに到っては参加すること自体がほとんどなかった。今回のパリに参加というのも、マジックオンライン予選というボーナスがあったからだとは彼の言だ。
そんな彼の性格もあってか国際的な知名度では全く知られていない部類のプレイヤーだと思うけど、今回のトップ8入賞と彼がこれからおおよそ1年間分の日本国外プロツアーの権利を獲得した事によって十二分に変わる可能性がある。僕が思うに今の段階ですら日本と世界で最も過小評価されているマジックプレイヤーの1人だと思うよ。
そんな彼のエピソードの1つを挙げるならマジックオンラインアカウント名でありニックネームでもある「ライザ」の謂われについてかな。かつてのグランプリ横浜。たしか2003年だったと思うけどオンスロート限定構築戦で開催されたグランプリでの事だ
その当時、日本人の中で最も権威があった藤田剛史とまだ高校生だった石村との対戦が初日にあったんだけど、白赤サイクリングの藤田に対して、1本目に《波停機/Stabilizer》をプレイ、これに目を白黒させ、ついで怪訝な顔をした藤田はジャッジに石村のデッキリストのチェックを要求した。今の感覚で言うとそうだね、ドレッジのような墓地を徹底的に使うデッキでトーナメントに出ていたら1本目のゲーム開始時にいきなり《虚空の力線/Leyline of the Void》を貼られたようなようなものかな。確かに当時のメタゲームでは赤白サイクリングは支配的な位置にいて、あり得ない訳じゃないけどメインボードからって…、僕もこれまでに何度かそういう場面に出くわした事があるけど藤田がそうしたくなる気持ちも解らないではない。でももちろんこの話は石村がイカサマをしたという結末ではないよ。ジャッジが石村のデッキリストを確認したところ確かにメインボードから《波停機/Stabilizer》が搭載されていたんだ!
石村が持ち込むデッキはいつも独創的で、それでいて彼らしい。しかも勝率もかなり高い、気になる人はここ最近の世界選手権、スタンダードラウンドの上位成績者を見てみると良いよ。毎年のように一風変わった石村らしいデッキを見ることができるだろう。

ニューフェイス
行弘賢
トップ8に残った中田、そして石村と予選ラウンドの最終2戦で戦い、敗れはしたものの17位という最終成績を残したのがこの行弘賢だ。
石村と同じくデッキ構築能力に優れており、今回のマナクリーチャーを展開して《石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic》で剣か《最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll》、あとはカウンター呪文という石鍛冶バントを初め、去年だけでもサンディエゴではボスとは違った形のナヤ、日本選手権では2マナのマナ加速からの土地破壊デッキ、アムステルダムでは《獣相のシャーマン/Fauna Shaman》と《サマイトの守護者オリス/Oriss, Samite Guardian》のロックと毎回のようにオリジナリティに溢れたデッキを持ち込んでくる。彼が個人で行っているマジックオンラインプレイのリアルタイム配信も日本では人気コンテンツの1つだ。
そして彼のキャラクターについてだけど、うーん、なんというか、直情傾向というか、感動体質というか、衝動的なと表現すればよいのだろうか、去年の日本選手権開幕3連敗から残りを全勝して9位と発表された時、感極まって泣き出したりと時々思いもよらない行動を取ったりするんだけどたぶん『若い』っていうのが一番正しいのかな。そう、何よりも彼のマジックのキャリア自体が非常に若いんだ。
かつてはポケモンカードゲーム等をやっていたようだけどトーナメントマジックに転向したのは2009年。その年の内にPTQを抜け、さらにグランプリ北九州トップ8入賞などによって瞬く間にレベル4を獲得してしまった。去年はあまり成績が振るわずレベル3に落ちてしまったけど、今回のパリの成績と次のプロツアーの参加権によってレベル4への返り咲きが確定したし、これまでは九州に住んでいたのだけど4月からは学校を卒業する予定だけど、友人の山本明聖(プロツアー京都トップ8で09年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを1点差で取り逃したプレイヤーだ)のカードゲームのネット通販を手伝いに大阪近くに転居するという事でまだまだ伸びる余地があるプレイヤーだよ。

北山雅也

最後に紹介する北山雅也だけど、実は彼はプロツアーパリには参加していない。
権利が無かったのではないよ、彼は今期レベル4だし去年の世界選手権では32位に入っている。もっと彼の実績を挙げるなら毎年のようにプロツアーであと一歩でトップ8というラインまで残り続けているし、その結果としてここ4年以上、グレイビートレインに乗り続けている。更に中田が日本代表になった年の日本王者はこの北山。
では僕が何故、北山を注目のプレイヤーとして紹介したかというと、それはマジックウィークエンドの裏で開催されていたマジックオンラインチャンピオンシップシリーズで優勝した事とある奇縁からだ。
ここ2年、世界選手権に併催されているマジックオンラインチャンピオンシップでは日本人がプレイオフに残り、そして敗れ去っている。
yaya3とArcher.、八十岡翔太と浅原晃だね。彼らが非常に仲が良い友人なのは日本人の間では良く知られていることなんだけど、
現地で北山がチャンピオンシップシリーズを勝ったという知らせを聞いた八十岡が
「スターダストクルセイダーズの最後の1人もか!」
と我が事のように喜んでいたんだ。
浅原、八十岡、そして北山。彼らは同じ地域でマジックをしていて、古くからの友人同士なんだ。それだけではないよ、彼らは3人チーム戦のグランプリ浜松では一緒にチーム「スターダストクルセイダース」を組んで、準優勝という経験もある。
友人2名がどちらもプレイオフまで残り、そして敗れ去っている中での権利獲得。これで期待するなっていう方が無理だろう?
ただ一つ問題があって北山のアカウント、manziはまだ北山がクレジットカードを作れない頃に知り合いに作ってもらったアカウントなんだけど
その事が今のガイドラインに抵触してしまって、サンフランシスコのチャンピオンシップに出られるかどうか解らないらしい。

確かにアカウントは本人自らが作った1アカウントのみ。
というルールに明記されている条項を北山は破ってしまっている。
だけど日本ではアメリカほどクレジットカードが一般的ではないんだ。
例えば僕のアカウントも、これはベータの頃から使っているのだけど、
製品版に移行した時はまだ学生でクレジットカードが作れなくて親のクレジットカードを借りて登録をした。今は僕も自分名義のクレジットカードを持っているし、プロフィールも僕自身のものに変更している。だけど果たしてこのアカウントはどういう扱いになるのだろうか、その事自体に公式サイトの方でアナウンスされているのか僕は未だに知らないし、たぶんこの事が無ければ僕のアカウントで僕がチャンピオンシップシリーズを勝ったならどうなるのかなんて当然のものとして気にも止めなかっただろう。
ベータからの移行時は国別選択欄に日本が無くて、みんな仕方なく字面が近いジャマイカにして登録したというのは当時の笑い話だったけど、今ではもしかしてそれも何かまずい事になってしまうのではと勘ぐってしまう。ウィザーズオフコースト社の担当者はどうか寛大な心で彼の参加を認めてやって欲しいけど…
友人としてはチャンピオンシップで戦っている北山、それも決勝戦で勝っている北山を見れる事を祈ってる。

さて、今回の記事についてだけど、
去年は日本のマジック界にとって大きなダメージを受けた年だった。斎藤についても言えるし他のプロプレイヤーについてもだ。そんな中でアメリカにおけるかつてのCFB勢がそうであるように日本にも新しい世代のプレイヤーが頭角を現してきたんだ。彼らを是非紹介したかった。
日本がこれから沈んでいくか、再び日は登るのか彼らがこれからどう活躍するかは、かつてのポール・チェンやLSVのように彼らにかかっていると思うんだ。

ただ、こういう類の記事についてみんなの需要があるのかどうか解らなかったんだ。
日本人以外には余りに知られていないであろう彼らのキャラクターと、それと北山の窮状について知ってほしいという本当に僕の個人的な願望を元に書いたもので、特に北山についてはこういうのをCFBの記事で僕が意見を表明する事自体、間違っているかもしれないと考えている。
とにかく確信が持てないし、何よりも僕にも皆が気に入るような内容の記事を書きたいという思いがある。君がもし間違っていると思ったら是非その意見をコメントしてくれたら嬉しい。それを次回以降の参考にしてより良い記事を書きたいと考えてる。
それではまた次回、読んでくれてありがとう。
中村修平

ノート : 中村さんは先ほど北山からメールがあって、ウィザーズオフコーストか
らチャンピオンシップには参加できないという決定になったとの連絡があった.

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